【組織創りの基本】最適な権限移譲の方法を解説

こんにちは、シュンゾーです。

今回は、他者をリードする力の1つとして、リーダーシップのアプローチを活用したタスクの最適な権限移譲の方法を解説します。

こんな人におすすめ

  • 人を育てるのが苦手
  • 自分の仕事を部下に教えて任せたい
  • 何でも自分でやってしまって時間が足りない

権限移譲は相手を1人前にするまでの手間や時間がかかり、面倒に思う人も多いです。

自分でやった方が早いと思う結果、部下が育たず人材不足で自身の時間が足りない上に思った成果が出ない状態に陥ります。

権限移譲のメリット

  • チームの生産性が上がる
  • 多様性を活かせて今まで以上の成果を出せる可能性がある
  • 自身がより得意なことに時間をかけられる
  • 部下の満足度が上がる(やり甲斐)

自分が苦手としていたり面倒だと思っているタスクでも他に得意としていたり好きだと思っている人がいる可能性は高いです。

部下や同僚の強みを見つけて積極的に権限移譲しましょう。

目次

有能なリーダーについての基礎知識

有能なリーダーとは
  1. チームの明確なゴール(目的)を設定する
  2. 相手に期待することを明確に伝える
  3. 明確な責任と基準を設定する
  4. トレーニングとフィードバックを提供する
  5. 必要に応じてフォローアップする

チームの明確なゴール(目的)を設定する

リーダーとして初めにすべきことは、ゴールを明確に設定することです。

ゴールが明確に定まっていないチームは指針がないため、バラバラに動いてしまいます。

その結果、次のようなデメリットを生みます。

  • リーダーの目指す成果が出ない
  • 衝突、対立が多数起こる
  • チームメンバーが不満を抱く
  • チームをまとめることができなくなる

まずはリーダーがチームとして目指すべきゴールを設定し、チーム全員で一致させましょう。

相手に期待することを明確に伝える

ゴールを設定したら、相手に期待する成果や行動を明確に伝えましょう。

人は誰かに期待されると、期待に応えようとします。

期待されていると感じたチームメンバーは自己肯定感が高くなり発揮できるパフォーマンスが向上します。

反対に期待されていないと感じたチームメンバーは本来のパフォーマンスを発揮することができません。

多くの有能でないリーダーは指示の力に頼ることでメンバーをコントロールしようとしますが、これではメンバーは期待されていないと感じてしまいモチベーションとパフォーマンスが低下します。

指示をし続けるのではなく、初めに期待することを明確に伝えた上でメンバーを信頼して任せることで、モチベーションとパフォーマンスを最大限引き出しましょう。

明確な責任と基準を設定する

ゴールの設定や期待の明確化と同じく、責任と基準を明確に設定することは権限移譲に欠かせません。

行動心理学に、「リンゲルマン効果(社会的手抜き)」という言葉があります。

これは、同じ責任や作業を任されている人数が増えれば増える程に1人の発揮する力が減っていくことを指します。

明確な責任をチームメンバーそれぞれに設定することでリンゲルマン効果を生まずにパフォーマンスを最大化することができます。

その上で、具体的な達成基準を設定し、チームメンバーそれぞれが指針を明確に持てるようにしましょう。

トレーニングとフィードバックを提供する

ゴールや基準を設定し、期待を伝えたらあとは放任というわけにはいきません。

熟練し自立しているメンバーなら別ですが、多くのメンバーはトレーニングとフィードバックを必要としています。

メンバーそれぞれにどんなトレーニングとフィードバックが必要かを見極めて提供することがリーダーとして他者をリードする力の1つです。

必要に応じてフォローアップする

権限移譲が完了した後は、定期的にフォローアップしましょう。

移譲したタスクの進捗確認や追加のトレーニングの他、必要なサポートの申し出をします。

相手の経験レベルに応じて必要なフォローアップの頻度は変わります。

経験が浅い相手には頻度高く、熟練した相手には頻度低くすると効果的です。

特に相手がタスクの実行に困っている時は、信頼と敬意を築く絶好のチャンスです。

優先して相手のニーズを満たすようにすると、相手のタスクの実行力が向上するだけでなく今後あなたの影響力は増々大きくなっていきます。

タスクに対する経験レベルと意欲の関係

権限移譲する相手のタスクに対する経験レベルと意欲を知ることはとても重要です。

ここでの経験、意欲は次のように定義します。

  • 経験:タスクに対する本人の知識またはスキル
  • 意欲:タスクに関する本人のやる気または自身

また、この経験レベルと意欲はそれぞれ独立したものではなく、次のように深く関連しています。

段階1234
タスクの経験レベル未経験不慣れ経験レベル中~高熟練
タスクに対する意欲やる気十分失望不安定自立
期間の目安0~3ヶ月3ヶ月~3~5年5年以上

すなわち、相手がタスクに対してどれくらいの経験レベルかを見極めることがリーダーの取るべきアプローチ方法を決定付け、移譲を成功させることと相手の成長促進に直結します。

各経験レベルに応じた最適なアプローチ方法

前述の経験レベルに応じて、権限移譲した相手に対する最適なアプローチ方法は変化します。

次の画像は、未経験~熟練までの最適なアプローチ方法の推移を示しています。

指示的行動:タスクの手順や期限など、具体的な行動面へのアプローチ

支援的行動:相手への労いやフィードバックなど、精神面へのアプローチ

ガイド型リーダーシップ

未経験の段階にいる相手にはガイド型のアプローチを実践します。

指示的行動:多め

支援的行動:少なめ

ガイド型リーダーシップのポイントは次の7つです。

ガイド型(私が決める)

  • 経験と意欲を認識する
  • ゴールと結果に対する期待を設定する
  • 完了までのスケジュールを作成する
  • タスクを活用して、新しいスキルを発達させる
  • 新しい方針や手順に関する具体的な指示などを出し、監督する
  • 問題の解決策を示す
  • フォローアップとフィードバックを提供して、ある程度の励ましを与える

このように、経験の無い新しい仕事を任されてやる気十分な相手には、向かうべきゴールとゴールへの辿り着き方を具体的に提示することに集中し、励ましたり褒めたりはある程度に留めると効果的です。

コーチ型リーダーシップ

不慣れの段階にいる相手にはコーチ型のアプローチを実践します。

指示的行動:多め

支援的行動:多め

コーチ型リーダーシップのポイントは次の6つです。

コーチ型(意見交換するが決めるのは私)

  • 褒めたり、励ましたり、ポジティブなフィードバックを与えたりする
  • 課題点の特定および目標の設定に関して意見・情報を受ける
  • 方向性を定めるが、目標を達成するために共に取り組む
  • 考えや意見の交換を行う
  • 決定する前に意見に必要な情報を得るために質問する
  • 定期的なフォローアップとフィードバックを提供する

タスク開始からある程度経過し、いろんな課題に直面して失望感を抱いている不慣れな相手には、励ましながら意見交換しつつ道を示し、目標達成できるように一緒に取り組みサポートすることに集中すると効果的です。

コンサルティング型リーダーシップ

経験レベル中~高の段階にいる相手にはコンサルティング型のアプローチを実践します。

指示的行動:少なめ

支援的行動:多め

コンサルティング型リーダーシップのポイントは次の10個です。

コンサルティング型(一緒に決定)

  • 直接指示を出さない
  • 励ましたり、サポートしたり、褒めたりする
  • 課題点の特定および目標の設定に向けて共に取り組む
  • やるべきことを相手が理解するように努める
  • 意思決定の責任を共有する
  • 新しいアイデアを促す
  • 知識やアイデアを引き出す
  • 理解するために話を聞き、必要に応じてリソース(情報などの材料)を提供する
  • 求められた場合、問題解決や意思決定を共有する
  • あらかじめ決められた時間的間隔でフォローアップする

ある程度のタスクの経験レベルを身に付け、意欲が不安定な相手には、具体的な指示を出さず励ましながら自力で目標達成できるようにサポートすることに集中すると効果的です。

エンパワメント型リーダーシップ

熟練の段階にいる相手にはエンパワメント型のアプローチを実践します。

指示的行動:少なめ

支援的行動:少なめ

エンパワメント型リーダーシップのポイントは次の8つです。

エンパワメント型(あなたが決定する)

  • チームへの貢献に対するレコグニション(認定・表彰)を実施する
  • 決定する自由を与える
  • 問題解決および目標設定の責任を共有する
  • 連絡を取るが、緩く見守る
  • タスクが完了するために立ち会う必要はない
  • ポジティブなフィードバックを提供するが、頻繁にフォローアップしない
  • タスク完了後にそのパフォーマンスを評価する
  • 今後の課題点に着目する

熟練した経験を身に付け自立している相手には、具体的な指示や頻繁な励ましは行わず、ゴールと期待することだけ共有し見守ることに集中すると効果的です。

まとめ

今回は、リーダーシップのアプローチを活用して効果的に権限移譲する方法について解説しました。

  • 権限移譲のメリット
    • チームの生産性が上がる
    • 多様性を活かせて今まで以上の成果を出せる可能性がある
    • 自身がより得意なことに時間をかけられる
    • 部下の満足度が上がる(やり甲斐)
  • 有能なリーダーとは
    1. チームの明確なゴール(目的)を設定する
    2. 相手に期待することを明確に伝える
    3. 明確な責任と基準を設定する
    4. トレーニングとフィードバックを提供する
    5. 必要に応じてフォローアップする
  • タスクの経験レベルと意欲の関係を認識しよう
    1. 未経験(目安0~3ヶ月):やる気十分
    2. 不慣れ(目安3ヶ月~):失望
    3. 経験レベル中~高(目安3~5年):不安定
    4. 熟練(目安5年以上):自立
  • 各経験レベルの段階に最適なアプローチ方法を実践しよう
    1. ガイド型(私が決める):指示多め、フィードバック少なめ
    2. コーチ型(意見交換するが決めるのは私):指示多め、フィードバック多め
    3. コンサルティング型(一緒に決定):指示少なめ、フィードバック多め
    4. エンパワメント型(あなたが決定する):関与少なめ

これらのポイントを実践し、チームメンバーに効果的に権限移譲してチームワークとを高めましょう。

リーダーシップに関しては以下の【ビジネスマインド編】のまとめ記事もチェックしてください。

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